料理は五感    06.18.2005
毎日、「このお菓子がうまい」 やら 「この道具はいい」などと言っている私ですが
せっかくこうして店の看板を掲げた(?)blogを開設しているので、たまには
「店の内側(?)」的な話を載せてみようと思います。 私のつたない文章ゆえ
読みづらいこともあると思いますが、どうぞご勘弁ください。
という訳で、五感の話。
「そんな事、何を今更言ってんだぃ?」という感のある方、スルーしてください(笑)。

先日、狐野扶実子さんのイベントに行ってきたことは、このblogにもUPして
私にとって、とても実りあるイベントであった、ということはご報告済み。
そのイベントで「ん?なんだかこの事どっかで聞いたことあるなぁ」と思う事、多々。
どこで聞いたんだっけ・・・・・・・

そうか!夫が言っていたんだ!

ご存知の方も多いように、我が夫、とても口下手(汗)。カウンター越しの接客業を
兼ねているのに、口下手であるという事は致命的とも言える(それでも最近は随分と
喋るようになってきた)。本来はとて〜も話好き(というかお喋り)なのだが
どうも自分の意思=言葉、にならないようなのである。それが災いして(笑)
私とのコミュニケーションにおいても多くの誤解を今まで招いてきた。
※本人は「料理が自分の答えです」などと格好をつけて言うこともある。
 いや、本人はいたって真面目に言っているんだけど(笑)。


二人で暮らすようになって必然的にコミュニケーション量も多くなり
さすがに口下手夫の言うこともそれなりに解釈できるようになってきた。
それでも vs お客様 になれば「そんな言い方じゃ伝わらないよー」と
思うときも。また、時折お客様から「通訳プリーズ」と言われることもある(笑)。

そんな夫が普段色々と口にしていた言葉。
私は普段何気なく聞き流していることが多いのだが、前述のイベントに参加
したときに目から鱗状態で「そうか!言いたかったのはこういうことか!」と
再認識出来た事が多かったのである。

調理の時、夫はよく「手」を使う。 焼く、茹でる、味付ける、揚げる・・・。
当初私は素材に「手」で触れることはお客様から見ると不衛生なのではないか?と
カウンターの内側での作業に疑問を抱いていた。事実、私が一お客として
来たときに不快に感じるような気がした。スプーン、フォーク、トング・・・
間接的に使えるものはいくらでもある。でも、夫は「手」。

彼曰く、手加減でしか自分はわからない、ということらしい。
塩をするときも手でつまむ。
それでないとどのくらいの加減で塩を振れたか?が判断できない、と。
肉を焼く時も肉の表面を手で触って弾力を確かめる。
サラダも手で合わせて味付ける。
そうすると手の感触で味付けの回り具合もわかるというのだ。
それと調理したすべてのものはほとんど味見する。サラダも然り。
当たり前のようだけど彼にとっては大事なことだ。都度味見して自分が
美味しい!と思った味で出したいらしい。まぁ、確認の意味もあるのだろうが。

調理台で作業している彼に向かって後ろのストーブ(ガス台)にある
パンの火加減を聞いたことあった。「音でわかるから大丈夫」と彼は言った。
パンを後ろにして材料を切っていても耳はパンの中を気にしている、という
ことらしい。そして鼻で焼き具合も嗅いでいるらしい。

夫はレシピが苦手だ。年に四回ある季刊誌四季の味の撮影になると
レシピを出すのに一苦労も二苦労も三苦労も・・・しているようである。
何度で何分とか、何gとかがダメらしい。前者は「このくらいの食感になるまで」
だったり後者は「このくらいの味」らしいからだ(笑)。
彼が目指しているその「食感」「味」になるまで、必要と思われる調味をするのに
いったい何を何g使って何度で調理したか?など覚えていられないらしい。
それに、食材は季節も含めその時々で状態が違う。同じ素材でも状態によって
調味も変わる。すべては「感」なのだ。※勘じゃないですよ!(笑)

色づきを「見て」パンからの音を「聴いて」具合を「嗅いで」「触って」「味見」して。

ふ〜ん・・・・・なるほどねぇ・・・・。今まで無意識に聞いていた
夫の言葉ひとつひとつが狐野さんの言葉を聞いて頭の中でピピピ!とリンクした。
私も少し固定観念が変わった。
それに、夫はずっとこう言うことが言いたかったのか、とちょっと感動。
片や有名人、片や吉野町の料理人だけど(苦笑)。

きっと世の中には高い志と腕を持つにもかかわらず未だ知られていない料理人が
五万と居るのでしょうね。その一人が夫と思いたいわ!
・・・・・・い、い、いいえ、思っていますとも、ハイ(敬礼キリリッ!)。

補足:念のため申し添えますが「手」を使うときは常に清潔にしていますよ!
■狐野扶実子さん情報■
2005/06/20(月)21:54〜日本テレビ「食は知恵なり」
2005/06/24発売 雑誌Gentry(アシェット婦人画報社)
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